2009年06月08日

小説「密室の人」横山秀夫著、感想

小説「密室の人」(横山秀夫著、短編集「動機」の中の4番目の作品)を読んだ。

主人公は職務に忠実な裁判官。その妻が若くして病気のために亡くなってしまうことから主人公である裁判官の悲劇が始まる。

小説のタイトルにある「密室」は、この小説の中では2つの場所を意味する。1つは裁判所の中の裁判がおこなわれる部屋(コートと呼ばれる)と茶室である。

主人公は元妻と茶室に通いその形式美に惹かれる。同時にその茶室で茶をたてる若い先生にも惹かれていく。しかし不倫を犯すわけではない。元妻が亡くなって5年もたってからその先生と結婚することになるが、何らやましい点はない。

しかし主人公は不運にも悲劇の渦に巻き込まれていく。この真面目で堅物の裁判官におおいに同情してしまうような不条理がそこにはあった。主人公に非があったとすれば、真面目すぎたことと、茶の湯を心から理解していなかったことか。

そんな非とは言えないような非が主人公を奈落の底に突き落としていく。解説に、「正直者がバカを見る」例えの通りの話、とあったが作者は正直であることを否定するつもりなど毛頭ないと思う。ただこの世の中はそういう不条理に往々にして出くわすことがある、ということだと思う。

正直であること、真面目であることは大事なことだと思う。ただ度が過ぎると、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で望まぬ結果をもたらすことはあると思う。何事もバランスが大事だと思う。




ラベル:小説 横山秀夫
posted by 王子 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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